加熱式たばこが吸えるパチンコ店、約9カ月で720店舗増加
2018年7月に成立した健康増進法の一部を改正する法律が2020年4月1日より全面施行され、パチンコホールは原則屋内禁煙となった。 編集部では2020年4月5日に全国のパチンコ店がどのような分煙化対応を実施したのか、インターネット上に公開された情報をもとに調査を行ったところ、店内の一部を遊技しながら加熱式たばこを吸うことができる加熱式たばこプレイエリア(以下、加熱式エリア)とするパチンコホールが全国で59店舗存在することを確認。これを受けて、同4月13日に「たばこの吸えるパチンコ店検索サイト『パチモク』」を開設するとともに、加熱式エリア設置店の動向を追ってきた。 【関連リンク】「加熱式たばこ」を吸いながら遊技できるパチンコ店は全国で59軒 ~編集部調べ 本稿では、加熱式エリアに関する昨年4月から12月までの約9か月間の動向をレポートする。東京都では約30%の店舗が加熱式エリアを設置
2020年12月21日時点の「パチモク」に登録されている加熱式エリアの設置店舗数は全国で779店舗。地域によってかなりの偏りが見られるものの、同時点における弊社のデータベースに登録されている店舗数は8671店舗であり、全国のパチンコホールの約10店舗に1店舗が加熱式エリアを設置しているという計算になる。 都道府県別の内訳を見ると、東京都が最も多く214店舗。2番目に多いのは埼玉県の96店舗で、以下、神奈川県92店舗、大阪府61店舗、千葉県60店舗、栃木県29店舗、愛知県28店舗と続く。また、設置店比率においても東京都が1番で30.7%。そのほか、埼玉県が23.9%、神奈川県が19.8%、と関東1都6県は軒並み10%を超えている。 一方で、加熱式エリア設置店がないのは秋田県と兵庫県の2県。このうち兵庫県では、改正健康増進法を上回る内容を県の受動喫煙防止対策条例で規制しているため、パチンコ店内に加熱式エリアを設置することができない。 ■都道府県別 加熱式エリア設置店舗数ランキング
都道府県 | 2020年12月21日 集計 | 店舗数 | 比率 | |
1位 | 東京都 | 214 | 697 | 30.7% |
2位 | 埼玉県 | 96 | 402 | 23.9% |
3位 | 神奈川県 | 92 | 465 | 19.8% |
4位 | 大阪府 | 61 | 628 | 9.7% |
5位 | 千葉県 | 60 | 354 | 16.9% |
6位 | 栃木県 | 29 | 161 | 18.0% |
7位 | 愛知県 | 28 | 482 | 5.8% |
8位 | 茨城県 | 26 | 227 | 11.5% |
9位 | 福岡県 | 17 | 348 | 4.9% |
10位 | 群馬県 | 13 | 124 | 10.5% |
10位 | 宮城県 | 13 | 177 | 7.3% |
10位 | 京都府 | 13 | 153 | 8.5% |
※データは「たばこの吸えるパチンコ店検索サイト『パチモク』」より抜粋。
営業再開後のリニューアル施策として脚光を浴びる
加熱式エリア設置ホール数の推移を見ると、4月末79店舗、5月末107店舗、6月末172店舗、7月末298店舗、8月末445店舗、9月末543店舗、10月末609店舗、11月末702店舗と、緊急事態宣言に伴う臨時休業中に加熱式エリアを設置するホールが多かったことに加えて、盆商戦に向けたリニューアルの際に加熱式エリアを設置するケースが多かった。 そして、2020年6月6日にグランドオープンしたパチスロ専門店『ピーアーク北千住SSS』(東京都足立区)が、総設置台数261台のうち、景品カウンター周りの28台を除いた233台を加熱式エリアとしたことが業界関係者の注目を集めた。これを皮切りに、店舗の半分以上を加熱式エリアとする店舗がちらほら見られるようになり、同7月5日には全192台を加熱式エリアとするパチスロ専門店『スロットセブンスヘブン長江店』(富山県富山市)が登場した。 加熱式エリアの設置割合は具体的に定められていないため、遊技スペース全てを加熱式エリア、遊技スペース以外を禁煙エリアとする『スロットセブンスヘブン長江店』の様な手法はNGとは言い切れないものの、「改正健康増進法」の主旨である受動喫煙を防止するという観点が置き去りになっていると言わざるを得ない。加熱式たばこ喫煙遊技者の3割が「来店頻度が増えた」
加熱式エリアの効果については、コロナ禍により禁煙化前の状況と稼働比較ができないために、プラスなのかマイナスなのかさえはっきり分からないというのが現状である。そんな中、パチンコ業界に特化したマーケティングをおこなうシーズリサーチが2020年8月4日、「加熱式たばこ喫煙遊技者の3割が『来店頻度が増えた』」とする調査結果を発表した。 同調査の「加熱式エリア設置店舗における遊技動向」では(月1回以上遊技し、コロナ禍でも来店意欲のある遊技者を対象)、来店頻度に関して加熱式たばこ喫煙遊技者の30.6%が「増えた」(「増えると思う」も含む)と回答。さらに、滞在時間に関しても同等の結果となった。 また、「たばこを吸うために席を離れる必要がなくなる分、稼働の下げ幅が抑えられている」との声も多く聞かれ、ホールによっては一定の効果が出ているようだ。※ ※ ※
2020年12月中も加熱式エリアを新たに設置するリニューアルが目立っており、弊社には「パチモク」への登録を求める問い合わせが毎日のように寄せられている。新型コロナ第3波、旧規則機の撤去など暗い話題が多い中、加熱式エリアを設置するホールはまだまだ増えていくと考えられ、今後も引き続きウオッチしていきたい。 [2021年1月4日・パチンコパチスロ情報島]